翌日…
前任者のクビを目の当たりにして、絶句した私ですが、翌日、私も大泣きすることになりました。
と言うのも、翌日彼女は諦めたような顔をしていつも通り出社していました。
お母さんに話したか聞くと、まだ話していないと言いました。
年が倍ほど下の彼女は若く、私は子供がいませんが、親のような気持ちになってしまいます。お母さんは、娘が数年間も勤務した会社を突然クビになったと聞いたら、たまらないでしょう。
とにかく、彼女は机の整理などしていました。午前中、また上司に呼ばれた彼女は30分ほどで席に戻ってきました。
しかし、また泣いていました。
「どうしたの!!」
「もう帰っていいと言われました。今日明日は有給でいいからと。」
「えー!!!」
私も泣いてしまいました。
仕事の出来は良くなかったのかもしれませんが、かなりの年数を勤務した会社から上司から最終日に「もう帰れ」と言われるなんて…
犯罪を犯したわけでもないのに、みんなに挨拶も何もできず、辞めさられる気持ち…
明日から急に行くところが無くなる気持ち…
涙が止まらない彼女は私に
「最後に1つお願いがあります。私が辞めて帰ること、女子には言わないでください」
「わかったよ!」
きっと、こんな最後が嫌で静かに去りたかったんだと思います。
しかし、しかし、
女上司がわざわざ皆がいるところまで来て
「みなさん、彼女、今日までで退職されますんで、はい、お疲れさまでした。」
と冷たく紹介しました。
周りの皆はきょとんとしていました。
しかし、その日ランチ中でも帰り道でも、前任者がなぜ急に辞めたかを聞いてくる人や、話題にしてくる人は、一人もいませんでした。
どんどん人が辞めていくことに慣れていたからのようです。
泣きながら帰る彼女。
たまらず、エレベーターホールまで追いかけて抱き締めました。
2年前の自分と重なって、涙が止まらなかったのです。。。